美容院でカウンセリングの時やシャンプーの時に
「今日はトリートメントも一緒にいかがですか?」
と聞かれたことはありませんか?
または、髪をキレイにしたくて、毎回美容院でトリートメントをしている人も多いと思います。
でも、美容院でトリートメントをした日は手触りが良くなるけど、正直どれくらい持つの?と疑問に思っている人も多いでしょう。
そこで今回は「美容院でするトリートメントの意味と効果、長持ちさせる方法」をご紹介したいと思います。
美容院のトリートメントは効果があるのか?
美容院のトリートメントにはどんな効果があるのか?
トリートメントはダメージケア、手触り改善が目的の髪にぴったりですが、髪表面をコーティングして、余計な水分を弾くことが出来るようになるので、クセで広がってしまう髪の毛やうねり、なかなか乾かない髪の毛の乾くスピードを速くしたりする目的としても向いています。
髪の毛の特徴の一つに、ダメージが少なければ少ないほど水を弾いて、ダメージが多ければ多いほど水を吸い込んでしまう。という特徴があります。
水を弾くことを疎水性、水を吸い込んでしまうことを親水性が高いと言います。
傷めば傷むほど空気中の水分を吸って広がったりクセが出やすくなります。
そして水分を離さないので乾きにくくなります。
トリートメントで栄養補給とコーティングをする事で、手触りが良くなるだけでなく、クセが出にくくまとまって乾くのも早くなる髪の毛になるのです。
しかし、美容室のトリートメントと一口に言っても本当に様々な種類と料金設定があります。
- シャンプー後に軽く付ける簡単なもので500~1000円
- 軽く揉み込んでちょっと時間を放置するもので1000~1500円
- 何回かに分けて塗布し、トリートメントを重ねていくもので3000円前後
- スチーマーなどを当てながら、かなりの種類を付けて時間を置くタイプで5000円以上のもの
などトリートメントの種類も様々。
他にもお店ごとのオリジナルの方法や薬剤を使った「○○トリートメント」などのメニューも沢山あります。
サロン用トリートメントを作る会社も沢山あるので、美容室でのトリートメントは各店バラバラなものを使っています。
正直、効果はあるのか?
結論から言うと、美容室でのトリートメントをする効果は十分あります。
例えて言うなら、エステサロンでするフェイシャルトリートメントと、自宅でのスキンケアの違いのようなものだと捉えもらうとわかりやすいと思います。
もちろん効果の程度や感じ方はそれぞれ違いますが、どんなトリートメントも『効果0』ということはありません。
多くの方は、手触りが元に戻ったことでトリートメントが落ちた、と感じる方がいますがそれは違います。
サロントリートメントの目的は“手触り”だけが目的ではない。ということ。
「トリートメントはすぐに手触りが戻るから意味がない。」
「手触りが戻ってしまったから全部落ちてしまった。」
というのは大きな間違いなのです。
髪のPH
美容院でのトリートメントを理解してもらうためには、『PH』がとても大切。
PHとは理科の授業で習った「酸性~中性~アルカリ性」の事です。
・アルカリ性だと髪の毛は傷みやすい
カラーやパーマすると髪の毛はアルカリ性になります。(正確には弱アルカリ)
カラーやパーマで使われる薬がアルカリ性で出来ていて、中性や酸性では薬の効果が出せないのでどうしてもアルカリ性になってしまうのです。
※酸性や中性の薬もありますが、ほとんどがアルカリ性で出来ています。
髪の毛というのは、アルカリ性になっていると髪を守ってくれるキューティクルが開いてしまい傷みやすくなる、という特徴があります。
キューティクルは髪の毛の大切な芯の部分を守ってくれるもので、外からの刺激や紫外線、薬剤のダメージから髪を守ってくれます。
このキューティクルが開いてしまっている状態は、外からの刺激に対して髪の毛が無防備なのです。
・トリートメントのPHは弱酸性
健康な髪の毛のPHは弱酸性です。
逆にカラーやパーマをしたばかりの髪の毛はアルカリ性。
アルカリ性に傾いている髪の毛を弱酸性に戻してあげることで、髪の毛はキューティクルが閉じて痛みにくくなります。
このアルカリ性になった髪の毛を弱酸性に戻してくれることを『バッファー効果』と言います。
皆さんが普段使うコンディショナーやトリートメントは弱酸性で出来ているので、つけるだけでもバッファー効果があります。
トリートメントやコンディショナーは、一瞬付けて流すだけでも効果はありますが、しっかりと弱酸性に戻したい時はゆっくり時間を置いた方が効果が高くなります。
・残留アルカリ
カラーやパーマを行うと、髪の毛の中にアルカリ性の物質が少し残ります。
これを業界では『残留アルカリ』と言います。
アルカリ性のものが髪の中に残ってしまっているという意味の“残留”ですね。
パーマや他のメニューをした後に美容師さんに、
「今日はシャンプーを控えて下さいね。」
と言われたことはありませんか?
なぜシャンプーまでに時間を空けないといけないのかというと、「残留アルカリのせいでまだ髪の毛がアルカリ性で不安定なので、出来るだけ形を変えたり洗ったりするようなことは止めて下さいね」といった意味があります。
不安定な時期に伸ばしたり形を変えたりするとパーマが取れてしまったり色が落ちやすくなってしまうのです。
残留したアルカリは、空気の力で放っておいても48時間程で完全にアルカリ性では無くなります。
特にパーマをしたばかりの時はアルカリ性が強いので、「せめて1日はやめてね」という意味なのです。
・トリートメントは残留アルカリを中和する
トリートメントには残留アルカリを中和する力があります。
髪を弱酸性にしてキューティクルを閉じさせ、アルカリ性の残留アルカリも中和されて髪の毛が傷みにくい状態にすることが出来ます。
ネットの情報の中には、「トリートメントをしてしまうと、残留物質が髪の毛の中に閉じ込められて髪の毛に悪い」というような情報もあるようですが、『アルカリ性の状態で髪の内部に残っているのが良くない』ので、中和させてしまえばさほど問題ではありません。
家でのコンディショナーやトリートメントでもいいの?
美容室でのトリートメントではなくともお家にあるコンディショナーやトリートメントでも髪の毛を弱酸性にする事が出来ます。
しかし、美容師さんからも言われるように、何かメニューをした当日はシャンプーや濡らしたりをしない方が良いです。
しかしアルカリ性の髪の毛の状態は出来るだけ早くに中和しておいた方が髪の毛のダメージが少ない。
そこで美容室でのトリートメントをしておけば、当日の内にしっかり中和出来るのです。
トリートメントを長持ちさせる
手触りの良さは無くなってしまうのか
トリートメントの手触りを決定しているのはシリコン剤です。
トリートメントには必ずジメチコンやシクロメチコンなどのシリコン剤が配合されています。
シリコン剤が髪に残ることで毛がサラサラしたりツルツルしたり、静電気を防いでくれるのです。
シリコン剤は、トリートメントをした直後が一番髪の毛に残っていますが、1回洗うごとにどんどん無くなっていきます。
シャンプーをする限り何か月間も、一度付けたシリコン剤が髪の毛に残り続けることはありません。
徐々にシリコン剤が落ちていく→手触りが悪くなる
これは仕方のない事なのです。
しかし、シリコンで手触りが良くなるのであれば長持ちさせる方法はいくらでもあります。
手触りを長持ちさせるには
・自宅用トリートメント
美容院で行ったトリートメントの持ちを良くするのに一番確かな方法は、同じ質のトリートメントをお家で行う方法です。
- 美容院でトリートメントを行う
- 美容院で行ったトリートメントが落ちる
- 自宅用トリートメントを使って手触りを良くする
- 自宅用トリートメントが落ちる
- 再度、自宅用トリートメントを使って手触りを良くする
この方法でかなり長い間手触りが良い髪の毛をキープ出来ます。
自宅用トリートメントでは100%美容院で行った状態に戻るわけではありませんが、30%ぐらいの手触りになってしまった髪の毛を60~70%程の良い状態にすることが出来ます。
注意点として、トリートメントは浸透させていく時間が必要になりますが、置けば置くほど良いというものではありません。
時間を置きすぎると、仕上がりが重くなってしまったりべたっとした手触りになってしまうこともあるので、しっかりと記載されている時間や美容師さんに言われた時間を守って使用するようにしましょう。
・使っているシャンプーを変える
せっかく美容院で質の良いトリートメントをしているのに、お家で使うシャンプーやトリートメントには全くこだわっていない。という方はいませんか?
本当に勿体ないです。
サロントリートメントの効果を良くする為にも、シャンプーも必ず一緒に使用しましょう。
むしろ、トリートメントをするよりもシャンプーを購入して毎日使用する方が、髪質が整っていく方もいます。
なぜシャンプーが大切かと言うと、トリートメントで一生懸命髪に栄養補給をしても、シャンプーが合わないとどんどん落ちてしまうからです。
シャンプーは洗剤です。
髪に付着している物を洗い落としていきます。
さらに髪質を(手触りや収まり)を大きく左右するので、トリートメントで髪の状態を整えたら、毎日使用するシャンプーも上質なものを使用しましょう。
信頼している美容師さんがいたら、シャンプーの事も必ず聞いてみて下さい。
シャンプーの選び方に関してはこちらの記事を参考にしてみてください。
【シャンプーの種類と特徴、上手な選び方】美容師が詳しく教えます!
カラーやパーマをしていなければ意味がない?
カラーやパーマをしていなかったとしても髪の毛の傷みの原因は他にもあります。
日々のコテ巻きやストレートアイロン、紫外線など様々。
ダメージを受けた髪の毛はキューティクルが剥がれて傷つきザラザラに。
髪の手触りを決めるキューティクルを整え、表面をコーティングしてあげるだけでも指通りが良くなり乾かしやすくなり毎日の生活が楽になります。
最近のトリートメントの成分の中には、『疑似キューティクル』と言って人工的にキューティクルを作り出す成分や、アイロンやコテの熱で反応して効果が高まるトリートメントもあるので、今以上には間違いなく髪の状態が良くなります。
パーマやアイロンのダメージに関してはこちらの記事を参考にしてみてください。
パーマをかけるのと、毎日ヘアアイロンで巻くのどっちが髪が傷むの?
まとめ
いかがでしたでしょうか?
トリートメントの効果は「手触りが悪くなった」=「トリートメントが落ちた」ではありません。
手触りが戻るのは、表面に付いたシリコン剤が落ちるからです。
しかし、トリートメントの真の目的はそこではありません。
カラーやパーマでアルカリ性になってしまった髪の毛を、早い段階で弱酸性にしっかり戻してあげる。
これで髪の毛が傷みやすい期間を減らすことができ、カラーやパーマの持ちも良くなります。
髪の毛の状態が良くなると、毛がサラサラして水分を離しやすくなるので、乾くのも早くなり寝癖も付きにくくなります。
どうしても高額でトリートメントまでは手が出ない。
という方でも、美容院の中には1000円程で出来るトリートメントを用意しているお店もあります。
ただ、あまりに簡易的なものだとすぐに落ちてしまうので、それなら自分で良いトリートメントを買って使った方が髪の毛が良くなる場合があるので、是非試してみてください。
洗い流さないトリートメントに関してはこちらの記事を参考にしてみてください。